化学物質過敏症の患者様への対応について
最近、化学物質過敏症(以下CS)の方からのお問い合わせが増えてきました。以前に治療したところの詰めものが外れてしまった、痛みが出てきた、金属の詰めものを外したい等…治療を受けたいけれど、診てもらえるかどうか?治療が出来るか?といったご相談です。
一般的に歯科では、治療する部分を削って詰めるもの(充填剤)は、化学物質でできています。外れた詰めものを再度付ける場合には、主に化学物質の接着剤(セメント)を使用します。それらの化学物質を使えない、CSの患者様には、ご希望の治療ができない場合があります。
虫歯が深くまで及んでいる場合などは、麻酔も使用する事になります。
当院では、充填剤やセメント、麻酔等を患者様に使えるかどうかを判断するために、実際に手に持っていただき、判断の参考としてOリングテストなどをする時があります。しかし、CSの患者様がそのテストを受けられるかどうかは、個人差が大きいところで、聞きとりをしながら慎重に対応するようにしています。
化学的な香りのある洗剤や柔軟剤は、当院では使っておりませんが、来院されている患者様の中には香りつきの衣料を着用されているかたもいらっしゃいます。
患者様ご自身とご家族の健康のためにも、化学的な香料の使用を控えられる事をお伝えすることもありますが、患者様個人の嗜好の問題の部分でもあり、強く否定しておりません。
従いまして、時には柔軟剤等の化学的なニオイが室内に残っている場合があります。
CSの患者様のご予約時間には、事前に換気などをし、他の患者様と待合室や診療室で一緒にならないように配慮しておりますが、完全に化学物質を排除することは難しい状況です。
化学物質過敏症は、何かの治療をして治るというような病気とは違うため、原因と思われる物質を避ける事に加え、ご自身の健康状態を上げるためにバランスの良い食事をとり、充分な睡眠と適度な運動を心がけ、精神的なストレスを減らすなどの対策によって、身体の抵抗力を上げることが大切であると私どもは考えています。
歯科の分野で言える事は、むし歯や歯周病の治療をしなくて済むようなお口の環境を作る日頃の手入れが何より大事です。
歯磨き剤も化学物質ですので、使用できない場合、水だけでも歯はキレイにできます。ご自身のお口に合う歯ブラシを使って、丁寧に磨いてください。
当院では、CSの患者様が来院される場合の対策は以上のような事で、特別な薬剤や機械が有るわけではございません。
特化した診療所ではないので、出来る事に限りがありますことをご理解いただいたうえでご連絡下さいますようお願い致します。
2025年02月18日 20:27